2020年02月11日

「警察と自衛隊との犯罪捜査に関する協定について依命通達」

「警察と自衛隊との犯罪捜査に関する協定について依命通達」
昭和36年6月10日乙刑発3号


各管区局長総監本部長
           警察庁次長
本庁局課長校長所長宛

 このたび、自衛隊法第96条第1項に定める犯罪の捜査に関し、当庁と防衛庁との間に別添のとおり協定が結ばれたので、その運用に遺漏のないようにされたい。
 命により通達する。

(別添)警察と自衛隊との犯罪捜査に関する協定
 国家公安委員会と防衛庁とは、自衛隊法(昭和29年法律第165号)第96条第1項に定める犯罪の捜査に関し、相互に協力するため、次のように協定する。

    第1章 捜査の分担及び調整
(捜査の分担)
第1 自衛隊の施設(自衛隊の使用する船舶、庁舎、営舎その他の施設をいう。以下同じ。)内で行われた犯罪は、警務官(警務官補を含む。以下同じ。)が捜査を行うものとする。ただし、自衛隊の隊員(自衛隊法第96条に定める隊員をいう。以下同じ。)又は自衛隊の所有し、若しくは使用する物件に関係がない犯罪は、警察官が捜査を行うものとする。
2 自衛隊の施設外で行われた犯罪は、警察官が捜査を行うものとする。ただし、自衛隊の規律維持又は秘密保持に直接関係がある犯罪及び警務官が逮捕した現行犯人に係る犯罪は、警務官が捜査を行うものとする。
3 事案の性質により前2項の規定によることが適当でないと認められる犯罪については、前2項の規定にかかわらず、警察官と警務官とは、協議の上その分担を定めるものとする。
(捜査の調整)
第2 警察官と警務官との間に犯罪の捜査が競合していることが判明したときは、警察官と警務官とは、協議の上、第1の規定の趣旨に従って捜査の担当を定め、事件の引継ぎを行うものとする。
2 警察官が捜査している事件と警務官が捜査している事件とが関連していることが判明したときは、警察官と警務官とは協議の上、第1の規定にかかわらず、捜査に着手した時期、その後の捜査の便宜等を考慮して捜査の担当を定め、事件の引継ぎを行うものとする。
3 前項の場合において、警察官が捜査している事件が自衛隊法第96条第1項に定める犯罪以外の犯罪に係るものである場合においては、警察官と警務官とは、相互に協議し、警察官が一括して処理することが適当と認めたときは、警察官に事件の引継ぎを行うものとする。
4 第1の規定により難い特別の事情があるときは、警察官と警務官とは、互に他にその捜査を依頼することができる。

    第2 捜査の協力
(捜査の援助)
第3 警察官と警務官とは、犯罪の捜査に関し相互に援助を依頼することができる。
2 前項の規定により援助の依頼があったときは、依頼を受けた警察官又は警務官は、支障のない限り、これに応ずるものとする。
(相互通報)
第4 警察官と警務官とは、犯罪の捜査について参考となる事項を相互に通報するものとする。
2 警務官は、犯罪の捜査にあたり、この協定により警察官が捜査を分担すべき犯罪又は自衛隊法第96条第1項に定める犯罪以外の犯罪を認知したときは、すみやかにこれを警察官に通報するものとする。
3 警察官は、犯罪の捜査にあたり、この協定により警務官が捜査を分担すべき犯罪を認知したときは、すみやかにこれを警務官に通報するものとする。
(施設内における捜査)
第5 警察官は、この協定により警察官が分担又は担当すべき犯罪の捜査を自衛隊の施設内において行う必要がある場合には、警務官にその捜査を依頼するものとする。
 ただし、警察官が自ら捜査を行う特別の必要がある場合は、この限りでない。
2 警察官は、前項ただし書の場合又は自衛隊法第96条第1項に定める犯罪以外の犯罪の捜査を自衛隊の施設内において行う必要がある場合には、当該施設を管理する自衛隊の各機関(防衛庁本庁の内部部局、幕僚監部、統合幕僚会議、部隊、機関及び附属機関をいう。以下同じ。)の長に連絡してその捜査を行うものとする。この場合において、連絡を受けた者は、その捜査に必要な便宜を供與するものとする。
(逮捕の通報)
第6 警察官は、自衛隊の隊員を逮捕しようとするときは、あらかじめその隊員の所属する自衛隊の各機関の長に通報するものとする。
 ただし、現行犯人を逮捕する場合その他やむを得ない事情がある場合には、逮捕したのち、速やかに通報するものとする。
(便宜供與)
第7 警察官は、警務官から鑑定、指紋対照その他の鑑識施設、鑑識資料若しくは鑑識技術の利用又は鑑識職員の派遣について依頼を受けたときは、支障のない限り、これに便宜を供與するものとする。
2 警察官は、警務官から留置場、調室その他の警察の施設の使用について依頼を受けたときは、支障のない限り、これに便宜を供與するものとする。この場合において、警察官から要求があったときは、警務官は、支障のない限り留置した被疑者の看守に必要な警務官を派遣するものとする。
3 警務官は、指紋、手口、写真、偽造通貨、銃器弾丸その他の必要な鑑識資料を警察官に送付するものとする。
(逮捕等の依頼)
第8 警察官と警務官とは、被疑者の逮捕、被疑者又は参考人の呼出し、取調べ、ぞう品の手配、その他の捜査に関し必要な事項を相互に依頼することができる。この場合において、依頼を受けた警察官又は警務官は、これに応じて必要な処置をするものとする。
(護送)
第9 第8の規定により被疑者の逮捕を依頼するにあたっては逮捕した被疑者の護送に関し、あらかじめ協議の上、必要な取決めを行うものとする。
2 前項の取決めについては、依頼を受けた側が被疑者を逮捕したときは、あらかじめ指定された場所に依頼を受けた側が護送することを原則とする。

    第3章 事件の引継ぎ等
(事件の引継ぎ等)
第10 警察官と警務官との間において事件の引継ぎ又は被疑者の引渡しを行うにあたっては、引き継ぎ又は引き渡す側において所定の事件引継書又は被疑者引渡書を正副2通作成し、正本を引き受ける側に交付し、副本に引き受ける側の署名押印を得てこれを保管するものとする。
2 警察官と警務官との間において証拠物件のみを引き渡す場合には、所定の証拠物件引渡書により前項に準じて行うものとする。
3 警察官又は警務官は、事件の引継ぎを受けた場合において、引き継いだ側の要求があったときは、その処理結果を通報するものとする。

    第4章 自衛隊の行動時における協力
(自衛隊の行動時における協力)
第11 この協定は、自衛隊法第6章の規定による自衛隊の行動の場合(防衛出動の場合を除く。)における犯罪の捜査に関しても適用するものとする。この場合において、警察官と警務官とは、事態の特殊性にかんがみ、相互の連絡を緊密にし、積極的な協力関係を維持しなければならない。

    第5章 雑則
(費用負担)
第12 第7第1項及び第2項、第8並びに第9の規定よりとった措置について特に要した費用は、依頼した側の負担とする。
(細目の取決め)
第13 警視庁又は都道府県警察本部(道警察の方面本部を含む。)と各級警務部隊とは、この協定の実施に関し必要な細目の取決めをすることができる。

    附則
 この協定は、昭和36年7月1日から実施する。

※原文縦書きを横書きに改めるに当たり、算用数字はアラビア数字に置き換えた。
※用字は初出のものとした。

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編注1 誤記あればコメント欄で連絡願います(コメントは承認後の掲載となりますので、掲載を希望されない方はその旨付記願います。)。
編注2 上記依命通達とは別個に、「警察と自衛隊との犯罪捜査に関する協定について通達」(昭和36年6月24日丙捜一発14号。協定の解釈及び運用に関する、いわゆる「了解事項」)が存在します。




Posted by 過保護&心配性 at 08:00│Comments(2)警察関係通達
この記事へのコメント
昨日着校した子の親です。お子様は今では学校に馴れてきていますか?父兄としてはそれが心配でなりません。
Posted by 68期生 at 2020年04月02日 20:00
心中お察しいたします。

私の場合は、がんばってほしいという気持ちと、引き返す勇気も持ってほしいという相反する気持ちがありました。

68期学生は、新型コロナの影響で入校式も延期となり、更に令和2年(2020年)4月は外出禁止――これは全学生――となってしまい、心配の度合いは私たちの比ではないと思われます……。
Posted by 過保護&心配性過保護&心配性 at 2020年04月04日 22:06
ごめんなさい。コメントは承認制です(^^)ヒトソレゾレネ
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